不登校と発達障害の関係性

小中学不登校児の半分以上が発達障害の可能性

宇都宮市は、665名(平成19年発表)の不登校児が小中学校にいると理解しております。不登校いった課題は、インターネットの台頭と共に社会情勢の強烈な変化によって20年や、30年前の不登校とは異なり様々な原因が複雑に絡み合って生じていると思います。

宇都宮市では,現在,不登校の増加と低年齢化の傾向が見られ,不登校減少に向けた取組が,喫緊の課題となっています。不登校の増加は全国的な傾向であり,増えている原因には,社会的な規範意識の低下や情報化社会における人間関係の希薄化,保護者の考え方の変化など,子どもを取り巻く社会情勢の変化も影響しています。

各学校においては,不登校を生まないための「未然防止(健全育成)」の取組,不登校になりそうな子どもに対する「初期対応(早期発見・早期対応)」の取組がなされ,また,不登校傾向・不登校状態にある子どもに対しても,各担任・教職員・学校組織により様々な支援がなされています。

宇都宮市教育センターより引用

不登校問題の見通しは、残念ながら明るくありません。日本財団が2018年に発表した報告「不登校傾向にある子どもの実態調査」によると「不登校傾向」の中学生は推計で約33万人。全中学生の10人に1人という割合です。これは文科省の調査による不登校の中学生数の約3倍です。

実は「不登校と発達障害」は密接な関係があり、不登校の原因のひとつに発達障害の存在が知られています。
 
例えば自閉スペクトラム症のこどもたちは、社会性の困難から学校内である意味目立つ(浮いた)存在になりやすく、叱られたり、からかいの対象になりやすいようです。

不登校児の57%が発達障害?

不登校児の57%が広汎性発達障害や注意欠陥/多動性障害などの発達障害を、また24%が不安障害などの精神疾患を有していた。87%が不登校になって初めて発達障害と診断された。91%に睡眠障害や頭痛などの身体愁訴を認めた。不登校となった誘因は複数混在し、対人関係の問題を契機とする例が最も多かった。

1年後の転帰は完全登校48%、部分登校26%、不登校26%だった。小学生は60%が完全登校に至ったが、中学・高校生は41%に留まった。1年後不登校の割合は、発達障害をもたない児で42%であったのに対し発達障害を有する児では17%で、特別支援学級へ転籍した児では1例もなかった。

不登校児は発達障害や精神疾患を背景に持つことが多く、投稿転帰の改善には発達特性の把握と教育的・心理的な支援が有用である可能性が示唆された。

不登校と発達障害:不登校児の背景と転帰に関する検討より引用

特に他害行為もなく、行動特性が目立たないため「発達障害」と気付かれないまま、診断や教育的配慮が遅れてしまった場合、不登校という二次障害に繋がります。

行動特性が目立たず、困り感を認識したり、表現したりするのが苦手な子供たちの発達の偏りを見落とさないためには、教師は学力のみならず、授業中の態度や、時間順守の有無、提出物期限などのルール順守能力、班活動や学校行事への参加態度、休み時間の友達同士のコミュニケーション能力など、積極的できめ細かな観察が必要だと考えられます。

ゴールは決して学校ではない!

残念ながら日本では「教育=学校」といった構図が主体で、代替となる案も少ないのが実情です。

しかし、不登校児にとって、学校に行かないことは「良くないこと」ではありません。

その思い込み自体不要なのかもしれません。
 
「学校に行く・行かない」という近視眼的見立てでなく、「社会で自立できる大人になる」ためにどういう道がその子にふさわしいのか、長期的視点で考えることがとても大切だと考えております。
 
不登校の子どもたちは決して怠けているわけではありません。自分だけ学校にいけない現状や自分の未来に不安を感じています。周りの大人が良き理解者となって、道程を明るく照らしていただきたいと願います。