小学生の不登校が増える今、学校以外の「つながりの場」を考える
栃木県教育委員会が発表した最新の調査によると、昨年度(2024年度)、県内の公立小中学校で不登校になっている子どもは5,983人。
12年連続で増加し、過去最多となりました。
特に小学生では前年度より242人増の2,187人(2.44%)。
中学生では微減となったものの、不登校率は**8.02%**とわずかに上昇しています。
全国的にも同じ傾向が見られ、不登校はもはや「一部の子どもの問題」ではなくなっています。
■「行けない」には理由がある
不登校という言葉の裏には、たくさんの思いがあります。
「朝になると体が動かない」「学校に行くと苦しくなる」「友だちとの関係がしんどい」「勉強がつらい」——。
そのどれもが、子どもにとっては“サボり”ではなく“生きるためのサイン”です。
文部科学省の定義では、不登校は「病気や経済的理由を除き、学校に行かない、または行けない状態」が1年間で30日以上続くことを指します。
その背景には、友人関係や教師との関係、学習の遅れ、家庭環境など、さまざまな要因が絡み合っています。
その中でも近年、発達特性(発達障害を含む)との関係が注目されています。
注意力や感覚の特性、コミュニケーションの違い、こだわりの強さなど——。
それらが学校生活のリズムや集団行動の中でストレスを生み、「学校が合わない」と感じる子が増えているのです。
■「学校に戻ること」だけがゴールではない
かつては「できるだけ早く学校に戻す」ことが支援の中心でした。
でも今、国の方針は少しずつ変わっています。
文部科学省は2022年に出した通知の中で、**「学校復帰を前提としない支援」**の重要性を明確に示しました。
つまり、子どもが安心できる場所で過ごしながら、ゆっくりと自分のペースを取り戻すことも、立派な成長のプロセスだという考え方です。
学校に行く・行かないではなく、**「どんな環境であれば安心して自分を出せるか」**を大切にする方向に社会が動き始めています。
栃木県教育委員会も同様に、「学校への復帰を急がず、児童や生徒、保護者の考えを大切にしながら支援している」と発表しています。
この姿勢の変化は、子どもたちの多様な生き方を認める時代の流れとも言えるでしょう。
■家庭だけで抱え込まないために
不登校の子どもを持つ保護者の多くが口にするのが、「どう支えたらいいのかわからない」という言葉です。
「このままで大丈夫なの?」「将来どうなるんだろう?」——そんな不安をひとりで抱えてしまうことも少なくありません。
でも、不登校は“親のせい”でも“子どもの甘え”でもありません。
子どもが自分の心と体を守るためにとった自然な防衛反応です。
だからこそ、親が焦らずに見守りながら、子どもが安心できる居場所や人とのつながりを見つけることが大切です。
家庭だけでは難しい部分を支える場所のひとつが、フリースクール型の放課後等デイサービスです。
■「学校の外」にも社会とのつながりはある
私たちの施設では、発達特性や不登校など、学校に通いづらさを感じている子どもたちが安心して過ごせる環境を整えています。
学習のサポートだけでなく、人との関わり方や、自分の好きなことを見つける時間を大切にしています。
子どもによっては、学校よりも少人数で穏やかな空間のほうが力を発揮できる場合もあります。
また、友達づくりの第一歩として、同じような経験をしている仲間と出会えることも大きな支えになります。
ここで自信を取り戻した子が、やがて自分のタイミングで学校に戻ることもあれば、別の学び方を選ぶこともあります。
どちらの道も“間違い”ではありません。
大切なのは、「どこで学ぶか」ではなく、**「どう生きるか」**です。
子どもが笑顔でいられる時間が増えれば、それがもう十分な前進です。
■社会全体で子どもを支える時代へ
いじめの認知件数も昨年度は過去最多の6,865件にのぼりました。
背景には、学校がアンケートなどで早期発見に力を入れていることもありますが、子どもたちが置かれている人間関係の難しさも浮かび上がっています。
SNSなどの影響もあり、子どもの世界は大人が思う以上に複雑です。
こうした現状の中で、「学校が合わない子」や「人との関係に疲れてしまった子」を社会全体で支えていくことが求められています。
学校・家庭・地域・福祉が連携しながら、子どもが安心して居られる“選択肢”を増やしていく。
それがこれからの教育と支援の形ではないでしょうか。
■さいごに
「うちの子、このままで大丈夫かな」
そう感じた時は、ひとりで抱え込まずに、ぜひ相談してみてください。
子どもの歩み方は十人十色。
まっすぐ進む子もいれば、回り道をしながら成長する子もいます。
大切なのは、「どの道を選んでも、ここに味方がいる」という安心感です。
学校という枠を超えて、社会の中で生きる力をゆっくり育てていく——
そのための居場所が、フリースクール型放課後等デイサービスなのです。

